リーダーが「プレイングマネージャー」をうまくこなす2つやり方
リーダーが「プレイングマネージャー」をうまくこなす2つやり方
プレイングマネージャーの2つのやり方
「『プレイングマネージャー』と言われても、仕事が増えただけ」
「プレイングマネージャーなんて中途半端。ストレスが増えた」
リーダーに任命されたけど部下が少なく、上司から、
「プレイングマネージャーとしてやってくれ」
そう言われて困惑している人が、少なくありません。そもそも企業の役職に「プレイングマネージャー」というのはありません。プレイヤーが少ない、プレイヤーの能力が不足しているので、リーダー(管理職)が実務とマネジメント両方やって欲しいとの状況で生まれた仕事のやり方です。
企業の大規模化、業務の効率化をしていく過程で、仕事の細分化が進みました。そして、指示する人であるマネージャーとプレイヤーの区分が生れました。ところが、近年の人材不足、業務の複雑化、高学歴化などの理由で、マネージャーとプレイヤーの垣根が低くなり、リーダーに「プレイングマネージャー」としての立場を求められることが増えています。
プレイングマネージャーは、マネージャーとしての役目とプレイヤーとしての仕事をせねばならず中途半端な仕事の仕方です。大方の人が、兼務することでの忙しさ、時間のなさにストレスを感じているのではないでしょうか。
リーダーがプレイングマネージャーとして業務をうまくこなすには、2つのやり方があります。
1)部下のモデルになるキャプテン型
2)必要なときだけ部下をサポートする監督型
プレイングマネージャーの立場を求められたら、自分がどちらのやり方を取るか、見極めることです。キャプテン型は、実務が主。監督型は、マネジメントが主です。
そもそもリーダーの役目は、「任せられた組織(チーム)のミッションを達成すること」「部下の力を活かすこと」であると、P・ドラッカーが述べています。
プレイングマネージャーである前に、まず組織(チーム)のリーダーです。自分が、マネジメントに時間を使う場合とプレイヤーとして時間を使う場合で、どちらが組織のミッションを達成するために有効であるかを考えることです。その上で、プレイングマネージャーとして、どこに重心を置くか、どんなやり方をするか決めることです。
チェンジ・リーダーの条件 はじめて読むドラッカー (マネジメント編)
部下のモデルになるキャプテン型のプレイングマネージャー
サッカーチームのキャプテンをイメージさせるようなタイプのプレイングマネージャーです。リーダー自身が、もっともすぐれたプレイヤーであり、チーム員の目標です。試合中は、キャプテンの指示で各選手が動きます。
これを業務に当てはめれば、リーダー自身が最も優れた実務担当者であり、リーダーの実務なしには組織が機能しない状況です。研究所などの開発部門、イベントなど企画業務をする会社、起業間もないベンチャー企業などで、こんなキャプテン型のプレイングマネージャーが活躍しています。
リーダーとしての影響力の根源は、その高い実務能力です。部下は、リーダーの能力を信じてついてきます。部下も「リーダーのようになりたい」と思っています。部下がリーダーを模範としてついてくれば、うまくいきます。リーダーが実務をするにあたって、仕事のプロセスを部下に開示することです。
注意点は、仕事がリーダーに集中して多忙になることです。部下の力を見極め、仕事を振ることが重要です。また、マネジメントの一部を部下に任せることも有りです。
プロ野球で、監督兼選手として優勝した例が、1973年の南海の故野村克也氏です。パリーグのプレーオフを制して優勝しています。ただし、この時は実質的な指揮をヘッドコーチのドン・フレーザーに任せ、試合中は捕手に専念していたと野村氏が語っています。野村氏自身プレイングマネージャーの難しさを実感し、権限委譲を決断したとのこと。彼は、「選手としての自分」と「監督としての自分」とを天秤にかけ、勝利の為には試合中は選手に専念することにして優勝しました。
有限な資源である時間をプレイングマネージャーとして何に割くかをよく考えることです。たとえ実務に集中するのであっても、部下に振れる仕事はあります。サッカーでキャプテンがどんなにスーパー選手であっても、いつも自陣からゴールまでパスなしでドリブルすることは不可能です。パスを回わして、シュートチャンスにまたボールが戻ってくるチームにすることが強さになります。
リーダー実務中心であっても部下がよくサポートしてくれる体制、信頼を構築することです。イメージは、サッカーのキャプテンです。
必要なときだけ部下をサポートする監督型プレイングマネージャー
プレイングマネージャーが難しいことは、プロ野球の監督兼選手の苦労で分かります。最近では、古田敦也氏がヤクルト(2006年~2007年)で、谷繁元信氏が中日(2014年~2015年)で監督兼選手をしています。歴史的には、これまで多くの監督兼選手がいました。いずれのケースも監督になる人が見つからずスター選手に監督を兼任させたのが実情のようです。近年の例では、いずれの場合でもあまりチーム成績は、良くありません。(最後に監督兼選手として優勝したのは、先ほど上げた1973年の南海の故野村克也氏監督)プレイングマネージャーは、リーダーとして組織のミッション達成を優先する立場を明確にすることです。古田氏も谷繁氏も監督の立場を優先し、選手としてはサポート役になっていきました。
プレイングマネージャーは、マネージャーとしての仕事を優先して時間を使うことです。リーダーは、常に「自分でやった方が速い」との気持ちと戦い続けなくてはなりません。しかし、リーダーとしての役目を果たすことが、長い目でみると組織のミッション達成、部下の力を活かすことになることが求められます。リーダー評価は、個人の成績ではなく、組織の成績で決まります。
プレイングマネージャーの多くが、プレイヤーとして一流と認められています。しかし、マネージャーとしては、経験が浅い場合が多いようです。実務を自分でやってしまうのは、マネジメントの勉強不足、経験不足と心得ることです。どう部下を活かすかは、マネジメントの本質です。リーダーとして、これを勉強、経験することが、組織の為であり、リーダー自身の飛躍に繋がると思うことです。
まとめ
プレイングマネージャーとしてのリーダーは、マネージャーとしての役目とプレイヤーとしての仕事をせねばならず中途半端な仕事の仕方です。兼務することでの忙しさ、時間のなさにストレスを感じます。
プレイングマネージャーをうまくこなすには、2つのやり方があります。
1)部下のモデルになるキャプテン型
2)必要なときだけ部下をサポートする監督型
リーダーがプレイングマネージャーの立場を求められたら、自分がどちらのやり方を取るか、見極めることです。リーダーの最大の役目である組織のミッション達成にとちらのやり方が、貢献できるか考えることです。