就活生を待ち受ける入社後の「リアリティ・ショック」による退職の防止法
就活生を待ち受ける入社後の「リアリティ・ショック」による退職の防止法
入社1年以内の離職理由は、「リアリティ・ショック」
「入社したら、上司も先輩は、無関心」
「なんの教育もなく、いきなり実務をさせれる」
「会社の将来が危うい」
就活戦線を勝ちぬいて、入社して味わうのが、「リアリティ・ショック」。これは、さけられません。イメージと現実との乖離による「リアリティ・ショック」は、大なり小なり必ず起きますが、早期退職の原因になるほど大きくしたくないものです。
最新厚生労働省のデータ*によれば、入社1年以内の大卒者離職率は、およそ11%、3年以内となると32%となります。詳しく見ると、従業員1000人以上の企業で7.9%、100~499人で11.9%、5~29人で23.1%です。
また、入社後早期に退職する理由は、待遇、人間関係、会社の将来に不安の順です。特に、入社1年以内の退職では、この3つが入社前に抱いていたイメージと違うことによる「リアリティ・ショック」が引き金になっています。これまでも「リアリティ・ショック」が、多くの新入社員を襲っていました。そして、2021年卒の就活生では、内定をもらった会社に一度も行ったこともないリモート就活生が多数います。今後、更に「リアリティ・ショック」による退職者が増えることが心配されます。参考記事:会社を辞める新卒者のホンネの悩み対策と失敗しない採用対策
この記事では、入社後に直面する「リアリティ・ショック」による退職防止の3つのポイントを紹介します。これは、会社の内定をもらうことを優先するあまり、入社後ことを考えていない就活生へのアドバイスであり、採用担当者への忠告です。具体的には、
1)就活時に正しい会社情報を掴む
2)会社選びの理由を明確にする
3)相談相手を作る
の3点です。例えれば、それぞれ「リアリティ・ショック」の予防、ワクチン、治療薬に当たります。毎年、多くの新入社員を見て得たノウハウをお伝えします。
就活時に正しい会社情報を掴む(リアリティ・ショックの予防)
新卒を採用しようとする会社は、応募者を増やすために、ネガティブ情報を出したがりません。一方、就活生は、自分の選択を正当かしようというバイアスがあり、企業の魅力を伝えるポジティブな側面を選択的に集めようとします。まずは、正しい会社情報を掴むことです。
会社の募集要項を熟読する
就活生の多くが、案外募集要項を読んでいません。初任給や有休日数は、見るようですが、日本企業では、ほぼ横並びで差はありません。問題は、給与以外の処遇です。有給休暇の消化日数です。
独身寮や社宅のあるなし。独身寮でも、広さや食事のあるなし、個人負担額額などは、企業により大きな差があります。ある企業の寮は、バストイレ付きの個室、冷暖部などの光熱費はダダ、2食付きで、個人負担3万円/月でした。これが、すべて自己負担となると10万円/月を軽く超えます。同じ20万円前後の初任給でも、実質これだけの差があります。よく読めば、独身寮の個人負担など大抵募集要項に書いてあります。もし書いていなければ、質問できます。
他にも募集要項には、採用数や採用実績、勤務地、業務内容など豊富に情報が載っています。熟読することです。
マスコミやネット情報を活用する
就活生が会社のイメージを決める大きなツールが、TVや新聞などマスコミ情報やネット情報です。企業の公式HPでは、詳しくその会社のことが書いてありますが、株価対策もあり、ネガティブな情報はありません。会社四季報などを調べて、過去の売上高や利益を知ることができますが、これからのことは想像するしかありません。
インターンシップを活用する
就業体験型のインターンシップでは、直に会社の雰囲気や仕事そのものを体験できるので、「リアリティ・ショック」防止には大きな効果があります。しかし、インターンシップの8割は、就業体験ではなく、セミナーや会社紹介、課題のグループ学習です。また、最近はリモートも増えています。会社の雰囲気と講師の人柄とを混同してしまう可能性があるので、注意が必要です。参考記事:就活生は、志望先、形式にこだわらずインターンシップに参加してチャンスをつかめ!
会社選びの理由を明確にする(リアリティ・シックのワクチン)
「なぜその会社に入るのか」これは、リアリティ・ショックのワクチンみたいなものです。
「車やメカが好きで、この会社を選んだ」
「地元が好きだから」
「ここしか内定がもらえなかったから」
会社を選んだ理由は、ポジティブなものもあれば、ネガティブなものもあるでしょう。いずれでも構いません。とにかく、絶対に譲れない理由を1つ持つことです。人間関係や社風が合わないなど、「リアリティ・ショック」に直面しても、この理由があれば、乗り切れます。「職場はひどいけど、車やメカに関して仕事ができるなら会社勤務を続けよう」と我慢することも可能です。
ただし、会社本人も変化するものです。「理系で技術を生かしたい」と入った会社で、思わぬ営業に配属されることもあります。「やっていると案外面白い」と思う人もいれば、苦痛に感じる人もいます。苦痛に感じるなら、新たに「会社にいる理由」を見つけることです。残念ながら見つからなければ、退職も有りかも知れません。
スポンサーリンク
相談相手を作る(リアリティ・ショックの治療薬)
就活生が目にする情報は、会社発であれ、採用情報会社であれ、基本「就活生を集める為の情報」を発信します。つまり、ネガティブな情報は、載せることがありません。また、会社の雰囲気や人間関係なども伝わりません。そこで重要なのが、相談相手を作ることです。就活中に情報を得るだけでなく、入社後「リアリティ・ショック」に直面した時の助けになります。
採用担当者や先輩
企業の採用担当者やその会社にいる先輩を相談相手にすることで、生の社内情報が得られます。遠慮せず質問や相談をぶつけると正直に答えてくれます。ただし、採用担当にしろ、先輩にしろ、どうしてもポジティブな情報となりがちです。
採用担当や先輩は、入社後リアリティ・ショックに見舞われたた時の「治療薬」になります。採用担当や先輩、同期と相談することで、症状が和らぐこともあれば、治療をしてくれることもあります。
ネット情報
口コミサイト「就活会議」「転職会議」などのネット上には、会社情報が溢れています。ただし、気をつけなくてはいけないのは、過剰にネガティブな情報が多くあることです。よく内容を読み解く必要があります。
また、Twitterには、「#22年卒」「#繋がる就活」等の情報が溢れています。読んで就活不安の解消にはなりますが、中には就職支援会社のなりすましと思われる人の投稿もありますので注意のこと。ネット上で友人を作り、相談相手になった例を聞いたことがあります。ネット上の友人は、どうしても互いに自分を実際以上に良く見せたり、不幸に見せたりする傾向があることを心してください。
参考記事:就活口コミサイト「就活会議」の利用価値は、あるけど注意して
Twitterを活用した採用のメリットとデメリット。その注意点。
まとめ:
就活戦線を勝ちぬいて、入社して味わうのが、「リアリティ・ショック」。入社前のイメージと現実との乖離による「リアリティ・ショック」は、早期退職の原因になります。大卒新入社員の11%が一年以内に辞める「リアリティ・ショック」の対処は、1)就活時に正しい会社情報を掴む(予防)2)会社選びの理由を明確にする(ワクチン)3)相談相手を作る(治療薬)ことです。