強いブランドと顧客とを結ぶ3つの要素「態度」「ロイヤリティ」「信頼」
強いブランドと顧客とを結ぶ3つの要素「態度」「ロイヤリティ」「信頼」
強いブランドと顧客とを結ぶ3つの要素「態度」「ロイヤリティ」「信頼」
「ベンツ車といえば、高級感」
「アップル製といえば、先進的」
「スターバックスといえば、・・・」
ベンツ、アップル、スターバックスといえば、強いブランド力で知られています。ブランド力が強いとは、会社や提供する商品(モノやサービス)を他と差別化し、顧客に
「買ってみたい」「また、利用したい」
という動機を与えます。
「我が社にも強いブランドがあったら、どんなに商売が楽か」
と考える経営者。お客様を訪問して、
「そんな会社知らない。何をしている会社ですか?」
と悔しい思いをする営業マン。それぞれの立場で、
「強いブランドを持ちたい」
という思いがあるのではないでしょうか。
ところで、ブランドとは、グッチやヴィトンのバックのような高級な商品、ロゴだけを指すものではありません。ブランドは、顧客がその対象(企業、事業、商品)に抱くイメージや価値観、体験の総和であり、社会的に共有される認識です。つまり、ブランドは「万人が瞬時に思い起こす共通の認識」であり、ある名前やマークを見たときに、多くの人が同じような印象や意味を思い浮かべるものです。
例えば、「コカ・コーラ」と聞けば、多くの人が赤いラベル、爽快感、アメリカ文化の象徴といった共通のイメージを瞬時に思い起こします。同様に「アップル」と聞けば、革新性、洗練されたデザイン、シンプルな操作性といった認識が広く共有されています。これらは単なる商品特徴ではなく、長年のマーケティング活動や顧客体験の積み重ねによって形成された「共通の認識」です。
ブランドはこのように、
・差別化の機能(他社との違いを明確にする)
・信頼の機能(顧客に安心感を与える)
・象徴の機能(社会的意味や価値観を表す)
を持ち、企業や組織にとって重要な無形資産で「ブランドエクイティ」とも言われています。
ブランドの大きな役目は、企業とお客様(顧客)とを関係付けることにあります。顧客は、ブランドを通して商品や企業を見ます。強いブランドは、顧客と企業との関係性を深めます。強いブランドは、顧客と以下の3つの関係を持つことができます。
1)ブランドに対する好意的態度
2)ブランドへのロイヤリティ(忠誠心)
3)ブランドへの信頼
強いブランドはこれら3要素を兼ね備え、競争優位を維持しています。「自社も強いブランドを持ちたい」と考えたとき、この3つの要素をどう獲得・維持するかということになります。そのためには、顧客体験の一貫性、長期的な関係構築、品質と誠実さの維持が基本です。
この記事では、ブラント力を持つメリットと維持する方法を紹介し、自社が強いブランド力を構築・維持するヒントになることを期待します。
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ブランドに対する好意的態度
顧客から好意的に見られるような強いブランドには、様々なメリットがあります。顧客は好意的な態度を持つことで、商品やサービスを前向きに受け入れやすくなります。
好意的態度は「試してみたい」「人に勧めたい」という行動につながり、口コミ効果や新規顧客獲得に寄与します。
例えば、スターバックスに対して「居心地が良い」「おしゃれ」という態度を持つ顧客は、コーヒーの味だけでなく空間や体験を含めてブランドを支持しています。
ブランドに対する好意的態度を維持するためには、顧客体験を一貫してポジティブにデザインしていくことが重要です。
例えば、店舗の雰囲気、接客態度、広告メッセージなど、顧客が接触するすべての要素をブランドイメージと整合させる必要があります。また、ネガティブな体験が態度を損なわないように、クレーム対応や品質管理を徹底することも欠かせません。
ブランドへのロイヤリティ(忠誠心)
ロイヤリティを持つ顧客は繰り返し購入し、競合に流れにくくなります。忠誠心のある顧客は価格に敏感ではなく、多少高くても「このブランドだから買う」という行動を取ります。
例えば、iPhoneユーザーは新モデルが出るたびに買い替える傾向があり、Appleブランドへのロイヤリティが収益の安定につながっています。
街の小さな商店や飲食店にも、長年通ってくる顧客を持つところがあります。提供する商品やサービスが特別ではないのですが、顧客のロイヤリティを掴んでいます。
ロイヤリティを維持するためには、顧客との長期的な関係構築が必要です。会員制度やポイントプログラムなどの仕組みを通じて、顧客に「特別扱いされている」という感覚を与えることが効果的です。街の長く続く商店や飲食店は、店主と常連客の関係が、ロイヤリティを醸成しています。これは、店として一種のブランドを構築していることになります。
また、ロイヤリティを維持するには、ブランドの進化も重要です。顧客が飽きないように新しい価値を提供し続けるといったことです。
ブランドへの信頼
信頼は顧客が安心して選択できる基盤となります。信頼があるブランドは、「失敗しない選択肢」として認識されます。顧客に、
「このブランドを買っておけば、間違いない」
という気持ちにさせます。この信頼は、口コミや評判を通じて広がり、新規顧客獲得にも繋がります。
例えば、トヨタは「壊れにくい」「安全」という信頼を築いています。数年前ですが、タイの北部で、泥だらけ、凹みだらけのラウンドクルーザーに乗せられたことがあります。運転手が、
「このラウンドクルーザーに20年乗っているが、故障が少ない。万一、故障してもすぐに直せるのが最高!」
と言っていたのが印象的でした。同様に後ろをついてくるハイエースも絶賛。過酷な条件下でのトヨタの信頼の高さに驚かされたことがあります。
信頼を維持するためには、品質の一貫性が不可欠です。小さな不具合や不誠実な対応が信頼を大きく損なう可能性があります。透明性のある情報発信も重要です。製品の改善点や企業の社会的取り組みを誠実に伝えることで、顧客はブランドを信頼し続けます。長期的には「約束を守るブランド」であることが信頼維持の鍵となります。
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「売る」から、「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義
まとめ
ブランドに対する「態度」「ロイヤリティ」「信頼」は、顧客とブランドを結ぶ3大要素である。ブランドに対する、顧客の
1)好意的な態度は、ブランドを前向きに選ばせます。
2)ロイヤリティは、繰り返し購入を促し、収益の安定に繋がります。
3)信頼は、安心感を提供し、長期的な関係を支えます。
強いブランドはこれら3要素を兼ね備え、競争優位を維持することができます。
これら、ブランド力の構築・維持には、顧客体験の一貫性、長期的な関係、品質と誠実さが欠かせません。ブランドは企業にとって単なるマーケティング資源ではなく、顧客との信頼関係を築く社会的資産です。
参考記事:商品が「高くても売れる」ブランドの確立に必要なブランディング
「ニッチ戦略」と「差別化戦略」を混同するな!「ニッチ戦略」は、どの会社も持っている!
