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イノベーションを起こすための「ラテラルシンキング」に必要な3つの力

 
ラテラルシンキングをする人のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

イノベーションを起こすための「ラテラルシンキング」に必要な3つの力

 

ラテラルシンキングとロジカルシンキング

「あの人からは、いつも面白いアイデアが出る」
世間には、斬新なアイデアを次々に出す人がいます。ところが、
「自分はいくら考えても面白いアイデアが浮かばない」
そんな思いの方がおられませんか。
日本では、マスコミを中心にイノベーションの必要性が叫ばれています。しかし、そう発信するマスコミもどの局も同じような番組を作り、同じような意見(感想)を流しており、イノベーションとは程遠い気がします。(あくまでも私の主観ですが)イノベーションを起こすプロセスでは、アイデアを出すことがとても重要であり難しいところです。
アイデアを出すには、発想法を変える必要があります。学校でいくら勉強しても、論理には強くはなりますが、アイデアを出すことに必要な力がつくかというと疑問を感じます。そんな中、アイデアを出す思考法として「ラテラルシンキング」があります。
ラテラルシンキング(Lateral thinking)とは、直訳すると水平思考。これは、問題解決のために既成の理論や概念にとらわれずアイデアを生み出す方法として、心理学者エドワード・デノボが1967年頃に提唱したものです。
デボノは、従来の論理的思考(ロジカルシンキング)や分析的思考を垂直思考(Vertical thinking)と呼びました。ロジカルシンキングは、論理を深めるには有効であるが、「斬新な発想は生まれにくい」と述べています。これに対してラテラルシンキングは多様な視点から物事を見ることで、直感的な発想を生み出す方法であるとしています。ラテラルシンキングが新しい穴を掘ることとすれば、ロジカルシンキングは、既に掘られている穴を奥へ掘り進めるようなものと例えています。
ロジカルシンキングに関する解説が沢山ありますが、その本質は、
「分類すること」「筋道を立てて考えること」
です。学校習う算数や国語の中身は、
1)「AB」「BC」だから「AC
もしくは、
2)「AB」「BC」だから「A≠C」
を繰り返すことです。教科書にある算数の証明問題、国語の論理文問題は、すべてこのパターンです。これがロジックシンキングの基本パターンです。
この「A=B」こそ、「物事を分類して整理すること」です。そして、「A=C」か「A≠C」へ導くことが「筋道を立てて考えること」です。
ロジカルシンキングでは、MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive=もれなく、重複せず)の考え方で、ロジックツリーや様々なフレームワークが使われますが、いずれも分類因果関係を追及することが基本です。
ロジックシンキングは、とても効率がいい思考法です。決められた手順に従って考えていくと答えに行きつきます。現場で作業マニュアルに従って作業するのも一種のロジカルシンキングです。
ところが、問題解決やアイデアを出す上で、「A=B」である前提が、強すぎて他の発想がでてこない。そもそも「A=B」が崩れているといった状況では、行き詰ってしまいます。そこで、物事を多視点で眺めるラテラルシンキングが役に立ちます。
ラテラルシンキングに必要な3つの力があります。
1)前提を疑う力
2)抽象化力
3)セレンディピティ
アイデアは、この3つの力がすべて揃う必要もなく、どれか1つでも生まれます。状況に応じて、これらを使うことが大切です。勿論、ラテラルシンキングが万能という訳でもなく、実際にアイデアを生み育てるのは、ロジカルシンキングと併用することが必要です。
なお、この記事は、自分の開発部門での経験及び、木村尚義著「天才たちの思考法 図解でわかる! はじめてのラテラルシンキング」(総合法令出版)を参考にして書いています。


天才たちの思考法 図解でわかる! はじめてのラテラルシンキング

前提を疑う力

前提を疑うとは、
「今までの定義は、これからも通用するのか」
と疑うことです。子供や日本に馴染みのない外国人は、見るものや体験することがすべて初めてです。物事に対して「A=○○である」という既成概念をもっていません。だから先入観なしに、素直に物事をみることができます。
日本人は「醤油は和食」「洋食は、フォークとナイフで食べるもの」と無意識に考えています。ところが、オーストリアから初めて日本に来たFさんは、醤油がすっかり気に入り、どんな料理にもかけては、箸を使って食べてみようとします。
「バター風味の料理は、醤油でうまくなる」
「アイスクリームに醤油も有り」
「サラダは、箸の方が食べやすい」
といった具合です。彼には、日本人のような先入観がありません。同様に子供も既成概念にとらわれません。よく、
「若い人の頭は柔らかい」
と言われるのは、「A=○○」という既成概念が定まっていないからです。前提は、学習により強化されます。大人になり、益々「A=○○」の前提から抜け出せなくなります。
すべてのことに意識無意識に関係なく前提があることを認識し、「その前提はこれからも続くか?」と疑うことを忘れないようにすることがアイデアに繋がります。

抽象化力

抽象化とは、「物事の本質は何か」を考えることです。「本質」とは、「目的」や「何の役に立つか」などです。
例えば、帽子には「日よけ」「雨よけ」「頭隠し」「保温」等々の目的があります。その本質は、光、熱、視線を「ふせぐ」「さえぎる」ということでしょうか。そこから、日傘、サングラス、カーテン等々、似ているものを多くみつけることが出来き、これが新しいアイデアに繋がります。
これは、「アナロジー思考」として知られています。アナロジーとは、
Aは、まるでBのように柔らかい」
ACは、どちらも『日よけ』になっている」
といったものです。
アナロジーには「抽象化力」が欠かせません。なぜなら、アナロジーをする際には必ず抽象化というプロセスを踏む必要があるからです。
抽象化には2つのレベルがあります。
「表面の抽象化」「構造の抽象化」です。
たとえば、比喩表現は「表面の抽象化」に入ります。「まるでBのようだ」は、表面的な特徴を一つだけ抽象化し、その特徴に似た別の物を探してきた比喩です。一方、「構造の抽象化」は、その特徴にある構造(目的など)を抽象化するものです。また、特徴を2つ以上抽象化する必要もあります。
アナロジーからアイデアを生み出すには、「構造の抽象化」が必要であり、比較するものの「本質」を見抜く「抽象化力」が欠かせません。

セレンディピティ

セレンディピティ(serendipityとは、偶然に幸運に出会ったり、予想外のものを発見したりすること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけることです。
アイデアを出すためには、偶然の出来事や目に入ったニュースなどを
「今ある問題と関係付けられないか?」
「何か別のことに利用できないか?」
と考える力です。
よく「風呂に入っていてアイデアを思いついた」とか、「電車の車内チラシをみてひらめいたと」いった成功談を聞くことがあります。まるで、アイデアが突然降ってくるようにも思えますが、実際は、常にその問題について考えているということのようです。
風呂に入るとか、電車に乗るなどしていても、頭の中では
「何かヒントになるものはないか?」
常に探し続けているようです。それがあるから、たとえ何も考えていないリラックスした状態でも、ちょっとした情報から、アイデアが生まれるのです。
いいアイデアが思いつかなくても、常に「ヒントを探すこと」を続けているとセレンディピティが起きる可能性が高まります。

まとめ

イノベーションを起こすプロセスでは、アイデアを出すことがとても重要です。
アイデアを出すには、物事を多視点で思考するラテラルシンキングが有効です。
テラルシンキングに必要な3つの力があります。
1)前提を疑う力
2)抽象化力
3)セレンディピティ
アイデアは、この3つの力がすべて揃う必要もなく、どれか1つでも生まれます。状況に応じて、これらを使うことが大切です。また、アイデアを実現させてイノベーションにするには、ロジカルシンキングと併用することが有効です。

参考記事:イノベーションの定義と中小企業における「イノベーション経営」

イノベーションを起こすのに必要なアナロジー思考など3つの思考法

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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