会話がうまい人には、「また、会話をしたくなる」ようにさせる技術がある
会話がうまい人には、「また、会話をしたくなる」ようにさせる技術がある
会話の目的は、「行動してもらうこと」と「また、会話をしたくなること」
会話には、2種類あります。一つは、上司と議論する、部下を説得するといったビジネス会話。もう一つは、特に目的がなく家族、友人とかわされるような日常会話です。
ビジネス会話の目的は、社内であれ、お客様とであれ、
「自分の意図を理解してもらい、行動してもらう」
こと。相手を賛同させ、行動してもらうことを目的としています。つまり、会話がうまい人とは、「相手を行動させる」話し方の技術を持っている人のことです。
一方、日常的な会話では、目的など意識せず、自分のことをしゃべったり、相手に質問したりしています。実は、日常的な会話にも隠れた目的があります。それは、「会話を続けること」であり、相手が、
「また、会話をしたくなる」
ことです。相手が、「また、会話をしたくなる」のは、話をすることで、「気持ちがいい」と感じるからです。どんなにタメになる話であっても、「小難しい」と感じたり、プレシャーを感じたりすると、「また、会話をしたい」とは、思いません。人気の講演者、クラブの人気ホストやホステスの人達は、リピーターを持っています。つまり、「また、話を聞きたい、会話をしたい」と思わせる技術を持っています。日常会話がうまい人とは、「また、会話をしたくなる」技術を持っている人のことです。
「また、会話をしたくなる」話し方をするには、いくつかのコツがあります。
1)相手に関係のない話をしない
2)相手に「共感」する
3)「ちょっと恥ずかしい話」で、人の心をひらく
などです。会話以外でも顔の表情、ボディーアクションなどが、相手に「また、会話したくなる」気にさせる大きな要素です。
この記事では、日常的な会話における「また、会話をしたくなる」テクニックをご紹介します。
相手に関係のない話をしない
人は、自分に関係のない話、関心のない話は、聞きたくありません。たとえ話をされても、「うわの空」。相手は、無視するか、話題を切り替えようとするものです。相手が関心を持っていないことに気づかず、夢中で自分の話をするタイプの人は、周りには結構いるのではないでしょうか。このタイプの人は、相手の話の中から、自分の話たいこと言葉を切り取って
「それ、私もそこに行ったことがある。そこで○○なことがあって・・・」
と言った具合に話を奪いとります。そして、相手と関係ない自分の武勇伝をしゃべっているようなことが起きます。
1)自分が話したいことを話すのではなく、相手の聞きたいことを話す。
2)相手が話したいことを聞いてあげる。
がポイントです。
「ちょっと教えて!」
「ちょっと聞いて!」
と相手がサインを出していることもあります。これを見逃さず、聞いてあげることです。逆に、自分から相手に、これらの言葉を素直に発信すると会話がしやすくなります。
初めて会う人や関係を深めたいと思う相手に対しては、事前に相手のことを知っておくことが大切です。相手の関心事がわかれば、その話題から会話に入ることができます。相手の趣味、好きなプロ野球球団などがわかれば、その話を切り出せば、相手は勝手に話しを始めて「いい気持ち」になってくれます。
あるセミナーの講師の方は、講演を頼まれると決まってその場所のことを調べることを習慣にされています。
「この街には、お寺が3つあり、そのうち一つは・・・」
そんな話し方からスタートされます。受講者から、
「それ、我が家の近所にある寺ですが・・・」
そんな反応があれば、ぐっと講師との距離が近づきます。ネットを利用すれば、地域のことも相手の会社のことなど容易に調べられます。ちょっとした手間をかけるだけです。
相手に「共感」する
人は、相手から「共感」を得ると安心します。特に日常的な会話では、「論理的な説明」より、まずは「同情」してもらうといった「共感」が、優先されます。また、女性の方が、より「共感」を求める傾向があると主張する人もいます。
テレビのニュース番組は、論理性より感情に訴え、「共感」を求める報道のし方が多く見られます。戦争の報道も戦況の正確な情報より、逃げ惑う一般市民の映像、戦闘員の残虐な行為の話が受けます。テレビの建前は、「正確な情報を知らせること」ですが、実際には「皆がテレビを見続けること」が目標です。SNSも同様です。論理的な構成で、「この話の結論はこうです」と言い切れば、テレビもSNSも見続けてもらえないでしょう。
多くの報道番組は、「わずかな事実と多くの感想」で構成されています。コメンテーターの「感想」にスタジオと視聴者が「共感」すれば、大成功です。SNSも「いいね」と「共感」を多く集めることが目的化しています。
日常的な会話で、相手の話に
「その気持ち、私も『わかる』」
「私にもそれって『あるある』」
そんな反応で「共感」したことが伝えられます。相手に対して、「共感」のサインをだすことが、相手を「また、会話したくなる」気持ちにさせます。
「ちょっと恥ずかしい話」で、人の心をひらく
自分の気にしている容姿、忘れ物、失敗談など、「ちょっと恥ずかしい話」をすると、
「私にも『あるある』」
と共感を呼びます。いわゆる自虐ネタです。ただし、自虐の程度は「ちょっと」が大切です。深刻過ぎる話をすると、相手は同情を超えて、距離を置きたくなります。過度に自分を卑下すると「嫌み」に感じます。
自分から「ちょっと恥ずかし話」をすることで、相手も「ちょっと恥ずかしいこと」を話したくなることで、人の心はひらかれます。相手との距離が詰まります。
完璧なイメージの芸能人が、SNSに、
「実は、片付けが苦手で・・・」
と散らかった自宅の部屋や普段着の姿を投稿すると、とたんに「いいね!」が殺到することがあります。ただし、これも程度問題で、もしゴミ屋敷だったら、嫌悪感しかうまないでしょう。
「ちょっと恥ずかし話」とは、「ちょっと自分を下げている」ことです。相手を「ちょっと持ち上げる」のも同様な効果があります。仲良し女性グループの会話は、このテクニックで成り立っています。相手を「ちょっと」持ち上げる、「ちょっと」自分を「下げる」ことで「気持ちのいい会話」が続いています。ただし、「ちょっと」を外れて、大きく持ち上げたり、自分を卑下したりすると、嫉妬を生んだり従属関係を生んでしまうので要注意です。
上昇志向の強い人や理性的な人は、「理屈っぽい」ことに加えて、「自分を上に見せたい」という傾向があります。男の人にこの傾向がある人が多いように感じます。そんな人には、「相手をちょっと持ち上げるか」、「自分をちょっと下げる」かすると気持ちよくなってもらえます。理屈で攻めてくる企業の購買部担当に、このテクニックを使った会話で、お客様に好かれる営業マンになっている人もいます。
まとめ
日常的な会話の目的は、「会話を続けること」であり、
「また、会話をしたくなる」
ことが大切です。
「また、会話をしたくなる」話し方をするには、コツがあります。
1)相手に関係のない話をしない
2)相手に「共感」する
3)「ちょっと恥ずかしい話」で、人の心をひらく
などです。会話以外でも顔の表情、ボディーアクションなどが、相手に「また、会話したくなる」気にさせる大きな要素です。