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プログラミング無しで動くAIロボットやAIシステムがDXを推進する

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

プログラミング無しで動くAIロボットやAIシステムがDXを推進する

 

 プログラミング無しで動くAIロボットやAIシステム

「自動車工場にズラリと並んで激しく動く溶接ロボット」

「素早く現金をやり取りする銀行のATM

これらは、1990年代から活躍するロボットや金融システムです。一度動き出すと、大量生産や多くの顧客対応には、きわめて有力な手段です。簡単な操作で利用できるこれらの仕組みは、利用する者からすると大変便利なものでが、その裏には「プログラミング」という膨大な作業があります。
2分で終わる溶接作業をロボットにさせるには、既に出来上がったプログラムをもとにしても数時間のプログラミング修正が必要です。車種変更、組み立てラインの変更があるたびにプログラムの変更です。ロボットは、1つの生産ラインで100台以上使われますので、プログラミングの作業量は大変なものになります。また、新プログラムによるロボット作業が開始されても調整作業が延々と続きます。
金融など大きな事務処理システムも同様で、ものすごい人数のプログラマーによって作られ、その後も多くの人手で維持管理されています。ところが、近年AIの発展により、これまで膨大なプログラミングを必要としていたロボットの運転、システム構築において、不要になりつつあります。プログラミングが不要になれば、もっとロボットやシステムの利用が広がり、コストも下がります。

今、DX(デジタル改革)の推進が国を上げて叫ばれています。DXには、AI、IoT、クラウド、スマホの技術が欠かせません。この中でAI活用による自動化、無人化、最適化は重要です。それもAIによるプログラミングレスでの運用は、DX推進に大きな力を発揮すると期待されます。世界で最も早くロボットを生産に活用し、世界の競争力トップを走っていた日本の製造業ですが、今や先進国中下位に甘んじています。人がプログラミングする「自動設備」から、AIで学習し進歩する「自働設備」に変化させ、競争力を回復させたいものです。

AIの「強化学習」は、ドーパミンに操られる人の脳と同じ

AIにおける機械学習の一つに「強化学習」という手法があります。強化学習とは、一言でいうと「行動を学習する仕組み」です。ある環境下で、目的とする報酬(スコア)を最大化するためには、どんな行動をすればいいかを学習していくことです。

例えば、ボールを投げるロボットがあります。10メートル先には、的があり中心が10点、そこから10センチ離れるごとに9点、8点、7点とスコアが下がります。ロボットには、スコアが最大になるように命令して、ひたすらボールを投げさせます。始めは、でたらめな方向に投げていたのが、次第に中心部にボールが集まるようになります。これが、「強化学習」です。「強化学習」の考え方は、1990年代からありましたが、現実には、行動をなかなか収束さることが出来ずにいました。2010年代「ディープラーニング」が登場し、これを組み込んだ「深層強化学習」により、ロボット制御が格段に進歩しています。

Boston dynamics社などが提供する最新のロボットは、「深層強化学習」が使われいます。以下にBoston dynamics社が公開しているロボット動画を紹介します。AIロボットが軽快に踊っています。

AIロボット

https://youtu.be/fn3KWM1kuAw

ディープラーニングは、「ニューラルネットワーク」と言われる人間の脳細胞「ニューロン」をまねて作られた構造を持っています。「強化学習」の報酬(スコア)は、快楽を与える神経伝達物質ドーパミンです。脳がドーパミンを求めて学習するように、AIはスコアを求めて自律的に動きます。


深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第2版

 プログラムレスのAIロボット、プログラムレスのAIシステムの時代

箱をロボットアームつかみ移動させる実験をしたことがあります。従来は、専門のプログラマーが数時間かけて動作させます。これを何も知らないAIに制御させる実験です。実際には、同じ条件をツインとして仮想空間につくり、動作をさせてみました。仮想空間なので、24時間試行錯誤を繰り返すことができます。5万回程度の試行ではぎこちなかったのですが、1000万回やるとスムーズに動きます。(1分間に2万回試行)

「深層強化学習」を使えば、従来のような厳密な巨大プログラムを作らなくてもロボットを働かすことができます。こんなロボットを「スマートロボット」、略して「スマボ」とソフトバンクの孫正義氏は名付けています。これに対して、従来型のロボットを「ガラボ」と呼んでいます。「ガラボ」の代表が、今自動車工場に並ぶロボット群であり、NC旋盤などです。これらが、プロググラムレスになることで、大きな変化を生みDXとなることが期待されます。

オフィスで使われるシステムもRPA(Robotic Process Automation)など、ほとんどプログラミングをせずに即使えるモノが現れています。また、各ソフトも簡素化の一途をたどっています。現にこのブログは、WordPressというソフトで作られていますが、初期設定さえすれば、Wordで文章を書いているのと全く変わりません。

まとめ

DXには、AI、IoT、クラウド、スマホの技術が欠かせません。中でもAIによるプログラミングレスでの運用は、DX推進に大きな力を発揮すると期待されます。
世界で最も早くロボットを生産に活用し、世界の競争力トップを走っていた日本の製造業ですが、今や先進国中下位に甘んじています。人がプログラミングする「自動設備」から、AIで学習し進歩する「自働設備」に変化させ、競争力を回復させたいものです。

参考記事:日本の製造業の生産性向上には、経営の4つの課題解決が必要

職場におけるDX推進方法と「2025年の崖」「レガシーシステム」

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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