なんでも屋の総務部がオフィス業務を効率化する5つのポイント
なんでも屋の総務部がオフィス業務を効率化する5つのポイント
オフィスの業務効率化5つのポイント
間接業務を担う一般事務とか庶務と呼ばれるオフィス業務があります。電話応対に来客対応。各種伝票処理に書類や資料作成。備品や小口の金銭管理。社員との健康診断や年末調整でのやり取り。郵便や宅配便の送付に受け取り...
最近は、テレワーク、脱ハンコなど改善の動きがあります。しかし、自職場の業務効率がさっぱり上がらないと嘆く担当者や管理職の方に、長年労働生産性向上に取り組んできた経験から、世間であまり言われていない視点から業務効率化5つを紹介します。
① 担当者の裁量範囲を明確にし、即決する
② 非定常業務を定常業務に変える
③ 業務効率化目標を決める
④ 帳票は、Excelを「ワープロ」ではなく「システム」として使う
⑤ クラウドサービス等のツールを活用して業務効率化
担当者の裁量範囲を明確にし、即決すると業務効率化になる
これは、世間であまり言われていない業務効率化の重要なポイントです。なんでも屋の仮称チームX(ある会社の庶務をする総務部と思ってください)には、様々な仕事や相談が持ち込まれます。
「今すぐに、現金でものを買いたいけど、いいかな」「提出期限が過ぎたが、なんとかして欲しい」「2時間だけ、人手が欲しい」等々です。
規定や前例のない事、規定や指示事項に少しばかり外れたことに対して
「上司に聞いてみます」
「検討しますので、お待ちください」
「書類に記入間違いがあります。書類(電子シート)の再作成をお願いします」
などとチームX若手社員が答えています。これらに対して、ベテランのAさんは、即断し業務効率化しています。それができるのは、長年の経験と上司からの信頼によるものです。実は、依頼する側の従業員や外部の業者さんは、Aさんなら判断が早く業務効率がいいことを知っています。
皆がAさんになるには、チームとして上司を入れ、担当者の裁量範囲を決めておくことです。
① 緊急購入のやり方、提出期限に遅れた書類の救済法など予測できることは、チーム内の取り決めをつくる。
② どうしても判断できない時は、最大リスクを想定する。その最大リスク内なら、即決できるとする。(金額や責任が部署内で収まるかどうかなど)
「報連相」が大事で、判断に困ったら先輩や上司に相談することが推奨されています。しかし、「なんでも上司に相談します」では、業務効率が上がりません。一度、相談して判断が出たら、以後その判断を基準にして、担当が判断してくことが、業務効率化になるとともに本人の成長に繋がります。また、社内外に対するサービスの質の向上(早く言えばチームの評価向上)が図れます。
非定常業務を定常業務に変えて業務効率を上げる
仕事には、定常業務と非定常業務があります。定常業務は、やり慣れた仕事ですので、効率が良く、反対に非定常業務の業務効率は低いものです。
チーム員が過去1か月にやった仕事を各自すべて書き出してもらい、それが定常業務か非定常業務か仕分けしてもらいます。これをリーダーや上司が見るだけでも、業務効率が上がるものです。大抵、「この仕事、この部署でやる必要がない」「この仕事、もうやめてもいい」などが見つかります。仕事の仕分け手法は、ECRSの手順で出来ます。
(注)ECRSとは、Eliminate(排除)、Combine(結合と分離)、Rearrange(入替えと代替)、Simplify(簡素化)の英語の頭文字を選択したものです。(参考:本ブロブ「労働生産性を上げる事務処理改革。不要な仕事は、すぐやめる」)
非定常業務について、マニュアル化等で定常業務にすることが業務効率化に寄与します。社員からのクレームなども、パターン別の対応法で定常業務にできます。
業務効率化目標を決める
測定できないものは、改善できません。定常業務については、大まかでいいので、「1時間で何件処理できる」と言った業務効率の測定をしてください。厳格に能率と効率とを定義せずとも効果は測定できます。
「一人1時間で10件の処理を15件処理できるようにしよう」
と言った業務効率化目標の設定で十分です。
(注)労働生産性からみた、能率と効率の簡単な定義
能率=仕事のアウトプット量/仕事にかかった時間
効率=仕事のアウトプット量/投入資源(=総労働時間)
「1時間で15件処理しよう」は、厳密に言えば効率化目標ではなく、能率化目標になりますが、ここでは同等に扱っています。
業務効率化の為に、帳票はExcelを「ワープロ」ではなく「システム」として使う
どこの会社でも各種帳票類のフォーマットは、Excelで作られてます。残念ながら、年末調整など役所関係は、まだ紙ベースが多いですが。各従業員は、PCからダウンロードして必要事項を記入後、担当部署であるチームXは、メールや紙で返します。その後、チームXでは、受け取ったExcelファイルや紙を基に集計したり、更に社内他部署に回したり、社外の機関に提出などします。これでは、ペーパレスではありますが、Excelを「ワープロ」として使っているだけです。
Excelには、計算機能と各シートを連携する機能があります。また、マクロプログラムを作成すれば、チームXに戻ってきたExcelシートからそのまま自動で結果の帳票ができます。チーム内に1人ぐらいExcelに強い人をつくりたいものです。
Excelの各種機能やプログラミングは、YouTube動画や本で自習できます。また、社内には詳しい人がいるものです。ある少人数の事業所の女子社員が、ネット上に
「Excelで、こんなことしたい。知っている人助けて!」
と発信したら、すぐに答えが返ってきて驚いていました。「職場に聞く人がいなくても、助けてくれる人はいるものですね」とのこと。
クラウドサービス等のツールを活用して業務効率化
チームXで行っている定常業務、伝票の整理、旅費精算、小口の出納等どこの会社でも行っているものです。これを個別にシステム化すると、効果はありますが、大変な金と時間がかかります。そこで、以下2つの方法があります。
1)専用パッケージソフト活用
会計処理や旅費採算など、ルールが厳格に決めれている場合では有効です。ただし、使用者側での自由度が少なく、不便なところを十分改善できない問題があります。
2)クラウドサービスのソフト活用
会社により異なりますが、一人数千円/月程度でクラウドサービスが受けられます。クラウド各社には、汎用ソフトが多数用意されていますし、オリジナルで帳票を専用入力画面と同時に簡単に作ることなどできます。
高額な会社独自のシステム開発をしても使用頻度が少ない、システム維持に金がかかるなどの問題に対して、これらのサービスの検討をお勧めします。
まとめ:チームの業務効率化は、担当者の裁量を認めることから
チームの業務効率化の為の5つのポイントを紹介しました。1)担当者の裁量を認める。2)非定常業務を定常業務にする。3)業務効率化目標を決める。4)Excelをシステムとして使う。5)クラウドサービスを活用する。これらで、業務効率化とチームの社内、社外に対するサービスの向上が期待できます。