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マーケティング分析は、観察力や質問力など「創造的知性」がなければ活かせない!

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

マーケティング分析は、観察力や質問力など「創造的知性」がなければ活かせない!

 

世の中にあふれるマーケティングの分析手法は、役に立つのか?

3C分析」「PEST分析」「4P分析」「SWOT分析」等、世の中にはマーケティングの分析手法が溢れています。これらは、社内の企画部門やコンサルが、よく使う分析方法です。マーケティング分析は、売上増や収益改善、新商品の開発・販売の戦略作成のために行います。具体的には、社内外の資料を集める、顧客アンケートを取る、調査会社に依頼するなどして行われます。しかし、分析に膨大な手間とカネをつぎ込んだ割には、平凡な結論しかでないことが多いようです。
「他社を見習って、地道な営業活動と社内コストダウンを続けるしかない」
結局、こんな結論しか出てこないことになりがちです。(私自身の経験に基づく意見で、少し偏りがあるかも知れませんが、お許しください)
こうなる理由の一つは、マーケティングを行う社員やコンサルタントが、「各種分析をシステマティックに進めた」実績を示そうとして、分析手法を使うこと自体が目的になってしまうからです。
分析法そのものが悪いのではなく、それを「意味のあるもの」、つまり「売上増や収益増、新商品開発に役立たせる」には、「観察力」「質問力」などの「創造的知性」(クリエイティブ・インテリジェンス)が必要ということです。
各種分析手法を、単にフレームを埋めるだけにせず、有効な政略を生み出すには「創造的知性」を発揮することが重要です。マーケティングとは、分析することではなく、行動に繋がる戦略を生み出すことです。

創造的知性(クリエイティブ・インテリジェンス)とは

英語でクリエイティブ・インテリジェンス(creative intelligence)という言葉があります。日本では、「創造的知性」と訳されています。これは、「何か」を生み出していく力です。マーケティングでいえば、分析を通して戦略を生み出す力です。創造的知性は、5つの要素で構成されています。
① 観察力:良く観る
② 質問力:自問自答する
③ 実験力:仮説・実証
④ 相談力:人と協力する
⑤ 関連づける力:アイデアを作り出す
まず、良く観る。この際は、先入観などを取り去って観る。そして、「どうしてそうなるのか?」「もしこうだったらどうなるのだろうか?」と自問自答する。更に仮説を立てて、実行してみる。自分で一通りやったら人に相談する。この一連の知見を関連づけて考える。これが、「創造的知性」のプロセスです。
マーケティングの分析手法では、とかくフレームワークして各項目を埋めることで満足しがちです。しかし、その後に戦略を生み出さなければ意味がありません。例えば、分析のために資料を読み解く場合、売上の推移をみているだけでは、目新しいとことは見つかりません。急に売れなくなったもの、細く長く売れているもの、特定の人が買うものなど、観察するポイントを沢山持つ必要があります。また、顧客アンケート調査でも、質問事項に先入観があれば、予想通り結果になりがちです。誰が、どんな気持ちで、どんな場面で使うために買うのか、買うのをやめたのかなどを質問しながら観察することです。
そして、仮説を立て、実証しながら、他の人に相談、持っている知識・経験と結びつけてアイデア(戦略)を構築します。


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「創造的知性」でマーケティング分析を活かす

マーケティングの分析手法は、結果を説明するには便利です。そもそも分析手法が、成功した企業の結果から導きだされたからでしょう。実際に分析から販売や開発戦略を作るには、各種分析手法のフレームを埋めるなかで、創造的知性を働かせる必要があります。その例を以下に紹介します。
リクルート社の出版部門において雑誌を次々にヒットさせた須藤憲司氏は、その著書「ハック思考」の中で、
「雑誌が売れるかどうかは、内容より書店のどの場所にどのように置かれたかによる」
との趣旨を述べています。ところが、雑誌が売れると
「○○ブームにのって××法を初めて特集した雑誌」
などと報道されます。また、売れた理由を
「出版元は世の中の○○ブームにいち早く気づき、これを特集して売れた」
と紹介し、さも周到な市場分析や商品戦略(内容)があったかの如く伝えられます。須藤氏によれば、
「雑誌が売れたのは、記載した内容より売れる場所や置き方の重要性に気づき、実際に場所を確保したからだ」
と述べています。更に、この仮説を確かめようと他の雑誌も同様に置いてみると、それらも次々にヒットしたとのこと。
この事例は、マーケティング分析法の一つ「4P分析」のプレイス分析をして、「良い場所」を占めることで成功した例です。実際にやったことは、本屋に来る客をよく観察し、「入口近くの平積みの本を手にする人が多い」ことに気づき、「入口近くは本が売れるのか?」「表紙を見せると売れるのか?」との疑問を抱き、「ならば、雑誌を売るのに入口近くに表紙を見せる陳列をすれば売れるのではないか」と仮説を立て、実証したのです。更に、良い場所を広げるために、表紙が見えるスタンドを増設して成果を上げたとのこと。結果的には、4P分析のプレイス戦略が成功したのですが、実際には創造的知性を発揮するプロセスで、よく観察し、仮説をたて、実証したことが成果を生む原動力になった例です。



まとめ

マーケティングの分析手法である3C分析」「PEST分析」「4P分析」「SWOT分析」等を「意味のあるもの」、つまり「売上増や収益増、新商品開発に役立たせる」には、「観察力」「質問力」などの「創造的知性」が必要です。各種分析手法を、単にフレームを埋めるだけにせず、創造的知性を発揮することが重要です。マーケティングとは、分析することではなく、行動に繋がる戦略を生み出すことです。
参考記事:最強の差別化戦略とは、マーケティングの4Pのうち「プレイス戦略」

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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