決断できない人、決断しない上司、お客様の決断を速くする3つのポイント
決断できない人、決断しない上司、お客様の決断を速くする3つのポイント
人は、なぜ決断できないのか?
「今日の昼食は、何を食べる?」
「就職先は、どこにする?」
「転職するかどうか?」
小さなことから、大きなことまで人生は決断の連続です。決断の速い人、苦手で遅い人、あるいはできないとも言えるような人がいます。また、上司やお客様にも、決断の速い人、遅い人がいます。仕事をする上では、決断は速い方が有利なことが多いものです。
決断が遅い人は、決断の為の意思決定のプロセスが悪いのです。そして、遅い決断が習慣になっています。決断する場面で、意思決定のプロセスを意識し、それを習慣化することで、決断を速くすることができます。これを繰り返せば、素早く決断することが、習慣化します。
決断が遅い最大の原因は、
「自分の考えが適切かどうか確信を持てない」
からです。確信がもてないから迷い、決断ができないのです。確信が持てないのは、
1)自分の考えが正しいかわらない
2)自分の考えが、他の人にどう受け止められるか確信がない
3)間違った決断をしたときのリスクが怖い
からです。決断を速くするには、以下の3つポイントがあります。
1)決断するか、決断しないかを決めておく
2)自分の決断基準を持つこと
3)リスク対策をする
これは、私が企業人として、平社員から役員まで経験して、様々な決断を迫られたことからまとめた考え方です。自分が、決断に迷ったり、上司やお客様に決断を迫ったりする中で気が付いたことです。
決断を速くするには、決断するかしないかを決めておく
そもそも決断をするか、するならいつまでにするかを決めておかなくては決断できません。例えば、デパートに入って
「いい服があったら買おう」
と思っていては、決断できず何も買わないことになり易いものです。
「今日は、この店で買う」「見るだけで、後日買う」
そんな、覚悟が必要です。
どんな決断でも、人はギリギリまでより良い答えを探そうとします。とにかく、いつまでに決めるという期限を設けることです。例えば、レストランで何を食べるか決めるのに、制限時間を昼食1分、夕食3分と決めている人を知っています。
ただし、こじれた問題の回答などでは、「決断をしない」との選択肢があることを忘れないことです。自分で期限を決めて、抜きさしならなくなることがあります。太平洋戦争前の日米交渉で、日本は交渉期限を決めていたために戦争に突入することになりました。米国からみたら、交渉期限が日本に「戦争をする」という決断を促す、有効な手段となっていたことになります。
決断を速くするには、自分の決断基準を持つこと
決断ができない。決断が遅れるのは、
自分の考えが適切かどうか確信を持てない
からです。決断を速くするには、自分の考えが適切であると思えたらいいのです。決めることが適切かどうかは、2つの面を持っています。
① 自分の考えが正しいかどうかわからない
② 自分の考えを他の人にどう受け止められるかわからない
これらは、自分の決断基準を持つこと、他の人に示すことで克服できます。
考えが正しいかどうかわらない
100%正解の答えを求めるの難しいものです。そもそも正しい答えなどない場合もあります。答えを求めて調べたり、検討したりしても限界があります。100%確信の無いなか決断するには、自分の「決断の基準」を持つことです。
ソフトバンクの孫社長は、新規事業の成功確率が50%なら、失敗のリスクが大きいのでやらない。90%以上なら出遅れのリスクが大きいのでやらない。70%なら事業参入を決断すると言っています。これは、孫社長の決断基準です。迷ったら「企業理念」に従うという経営者もいます。
そんな大きな決断基準でなくとも
「昼食は、基本麺類。金曜は、カレー」
といった些細な自分の基準もあります。極端な話し、占いで決めるという人もいます。重要なのは、自分の決断基準に確信が持てるかです。
自分の判断基準に確信が持てず、常に変わるようでは、決断は速くなりません。また、他の人に信頼されません。
自分の考えが、他の人にどう受け止められるか確信がない
自分の考えが正しいと思っていても、相手は周囲の人が受け入れてくれるかの不安があり、決断できないケースがあります。
「他人のことは気にするな」
ということですが、現実にはそうはいきません。飲み会を断る、勧誘を断るなど、他人がどう思うか気になります。シビアな場面では、リストラで人員整理をするとか、納入業者を変えるなど、相手に大きなダメージが現実にある場合は、決断が鈍ります。
この時は、自分の決断基準を明らかにすることです。
「金曜以外の飲み会は、出ないと決めています」
「この手の勧誘は、応じないと決めています」
「リストラは、会社の方針で決まっています」
残念ながら相手にとって不快感ゼロとはいきませんが、決断がきちんとできます。究極は、他人に決断を任せることもありです。
「この件は、○○さんの決めたことに従うことにしている」
ただし、この時○○さんの決断に、後で文句を付けない条件が必要です。下手をすると、丸投げに受け止められます。
決断に伴うリスクの対策をする
もし間違った決断をして、何かおきたらどうするの。責任をどうとるの。
そんな心配があると決断できません。
一般に
「覚悟を決める」
とは、このリスクを取る気持ちを固めることです。
何かやることを決断する時、失うリスクを考えてみます。リスクには、
① やることで生じるリスクと、
② やることで失うリスクがあります。
例えば、転職で考えてみます。「やることで生じるリスク」とは、転職した先が、期待に反して給料もやりがいもないといったことです。このリスクは、対策がとれます。あらかじめ給与の詳細を決める。もし、合わないなら第2の転職先も調べておくなどです。
一方、「やることで失うリスク」に対する覚悟は決めにくいものです。
「これまで、この会社で頑張った。もしかしたら、職場が好転し、昇格もあるかもしれない」
こんなことで決断が鈍ります。「やることで失うリスク」の対策は、「やらない」ことです。つまり、やることで失うリスクの対策は、それを受け入れる覚悟があるかどうかです。そのリスクがどうしても受け入れられなければ、やらないと決断することです。
決断を速くするには、決断の荷物を軽くすること
「いくら時間をかけても、正しい答えは出ない。」
「どんな決断をしても、すべての人が満足できない。」
「決断して失うものは、必ずある。間違っていれば、やり直せる。」
そんな風に、荷物を軽くすることで、決断が速くできます。これは、自分に関わることだけではありません。上司、お客様の決断を促すときにも使える考え方です。
例えば、モノやサービスの購入を決断できないでいるお客様に、決断の荷物を軽くすることです。
「これを買うことは間違っていません。なぜなら、あの有名な○○社でも使っています。」
「○○社でも初め反対意見がありまたが、一度使うと皆さんに満足してもらいました。」
「もし、うまくいかなければ、1か月以内なら無料で解約できます。」
優秀な営業マンなら、お客様の決断を促すために当たり前のようにやっている手法です。同様に「決断しない上司」を促す手法でもあります。自分の決断を速くする習慣を身に付けることは、他の人の決断を速くする手法を手に入れることに繋がります。これは、人生の様々なシーンで役に立つことが期待できます。
まとめ
決断が出来ないのは、自分の考えが適切かどうか確信を持てないからです。決断を速くするには、3つのコツがあります。
1)決断するか、決断しないかを決めておく
2)自分の決断基準を持つ
3)決断に伴うリスクの対策をする
決断が出来ないのは、一種の習慣です。決断する場面で、この3つを意識すれば、決断が速くできるようになります。また、自分の決断を速くする習慣を身に付けることは、人の決断を速くでき、人生の様々なシーンで役に立つことが期待できます。
参考記事:「今更やめられない」という「サンクコストの呪縛」から逃れる3つのステップ